昨年6月に発表された「Madone Gen 8」。最軽量と最速、2つのロードバイクを組み合わせ、Madone Gen 8を生み出しました。
Madoneであり、Émondaでもあるこのバイク、表彰台を目指せる1台です。
今回トレック・ジャパンのスタッフが乗った感想をお届けいたします。
インプレスタッフ
身長:182cm 股下:84cm
試乗したバイクサイズ:ML
※Gen 7との比較は52サイズとMサイズ
自転車歴:15年
所有自転車: MADONE, BOONE
主なレース戦績:
2012: 大台ケ原ヒルクライム 総合3位
2013: 都道府県対抗ロードレース 3位(大阪代表)
2019: 富士ヒルクライム 1:03:56(ゴールド)
2019: 鈴鹿ロード 5ステージスズカ 総合優勝
2022: 美山TT 優勝
2023: けいはんなロード C1 優勝
2023: 赤穂ショートトライアスロン 総合2位 など
乗った感想
「Madone SLR Gen 7 より320g軽量」、「Émonda SLRより77秒速い」という文字が躍り、その前情報で試乗もしましたが、私が最初に感じた良さはそこではありませんでした。
「お尻への突き上げがめちゃくちゃ軽減されてる!」
ここに尽きました。
もちろん踏み出しの軽さや上りの軽さ、反応性が増した剛性感などはありましたが、それよりも魅力的に感じたのがシート周りの快適性でした。
Madone Gen 8はSL 6以上からTLRタイヤが標準搭載されているのでそれに合わせた空気圧にて試乗しましたが、ハンドルからくる振動とは違うものを感じました。
これはSLでもSLRでも同様で、むしろSLの方が標準で装備されるサドルがクッション性の高いものなので余計に快適な感じを受けました。
加重をかけてしならせてみると後ろ方向へしっかりしなる為折れるのではないか…と思うかもしれませんが、Gen 7でも事故を除き自然に折れたという報告は聞きませんでしたし、今回カーボンがOCLV800から900となり強度も20%増している為、安心してよいでしょう。
シート周りは快適ではありますが、ペダルを踏みこんだ時はしっかりと力を受け止めてくれ、コーナーもキビキビ曲がる各部の剛性の高さも感じられました。
私は今まで割と重めのギヤを踏んで進ませるタイプでしたが、Gen 8 は少しでもケイデンスを高くしたほうが進んでくれる、とも感じました。
Émondaからすると踏んだ後の返りが非常に速くなったと感じるかもしれません。
Gen 7からしてもチューブが細くなったのに硬くなったと感じるほどなので、更にレーシーなバイクに変貌を遂げたなと思った所です。
ただ軽く踏んだ時は素直に回ってくれるので、大パワーを出さない限りはその硬さというのは感じずに軽く回るという印象になるかもしれません。
コーナリングはヘッド周りの剛性感が高まったからか、回旋時にハンドルが軽く切れる印象でした。
SLRだとホイールリム内幅23mm、タイヤは28CのTLRが標準装備なので実質30mmに近い感触のはずですが、それでも軽く感じました。
ヒルクライムであれば特に25Cや26Cでも十分快適に走れ、ワインディングの下りなどでよりシャープな感触を味わえるかと思います。
また、ヒルクライムメインの方であればRSL37やPRO37のホイールを合わせるとバランスいい且つ走れるバイクにより近づくと感じました。
総評して、
・快適で軽く良く走るので、レースも長距離のライドも楽しく走れそうで、より幅広い層の方に楽しんでいただけるバイクになった
・乗り込んでいって速くなるにつれ、より良さが実感できてきたので流石レースバイクという印象
という感じです。
専用ボトルに関して
Madone Gen 8 発表と同時に発売されたTrek RSL Aeroウォーターボトル&ケージは、Madone Gen 8のために設計されました。
発表当初は、乗車時に取り辛いのではないか?と話題になっていましたが、1年使ってみると出し入れはすぐ慣れて、今では乗車中ノールックで出し入れできるように。
空力に関しては、Lidl-Trekの選手もボトルを捨てずに水だけ抜いて戻しているので、効果が高いんだろうなと思います。
Madoneのために設計された、とはいえMadone 以外のバイク(もちろん他ブランドのバイクでも)でもエアロダイナミクス・モデリングシステムで、早く走れるアイテムです。
Gen 7 と比較してみて
上述したように快適性という部分では大きく違い、軽さという点でも違いますが、空力というところはGen 8単体で乗ると正直わからない部分がありました。
理由として、ある道で〇W出して〇km/hだったとしても、風の向きや強さは毎日変わるので一概に比較できないからです。
そこで、同日にできるだけ時間を開けずに、同じSLR 7グレードにてGen 8とGen 7の両者を比較してみました。
もちろん多少条件は変わってしまうのですが、それに目をつぶったとして、どちらも一定ペースの速めの速度で進ませた場合速度はほぼ変わらないが、「ゆっくり進ませたらGen 8の方が速い」という結果が得られました。
これは上りでも平坦でも同様でしたので、「自転車より自身の体が受ける風の力が大きく影響している」と言えるかと思います。
風の抵抗は速度に比例して大きくなるので、ゆっくりになるほど風の抵抗が大きい体の影響が減り、自転車の空力が活きる形になったのかなと推察します。(自転車のエアロ効果も同様に落ちますが・・・)
実際に、CFDのシミュレーション(※下図)でも200W走行時の方が、380Wや660Wでの走行時より大きく差ができていたので、CFDが仮想での実験といえど大きく外れていないと感じました。
また、ゆっくり走った方が速く走るよりペダリングロスが大きいと思われるので、ちょっとした負の力が働いたときにより軽い方がリカバリーしやすいのかな?とも思いました。
河川敷を流したり、信号ストップが多かったり、レースでいうとクリテリウムなんかで違いがハッキリわかる気がします。
故に、Gen 8とGen 7はそれなりの速度にて一定ペースで走るのであればそこまで違いはありませんが、すこしでも加減速があったりするとGen 8の方が快適に速く走れるかと思います。
Gen 8を一言で表すなら
MadoneとÉmondaの統合のように言われますが、私的にはシート部分の快適性はDomaneのIsoSpeedを彷彿とさせるので、「三位一体」な全く別物のバイクと感じました。
TREKのバイクのウリは様々な方に合うようなフィーリングだと思っていますが、更に幅広い方に合うようになったと思います。
SLRだけでなくSLも近いフィーリングですが、よりマイルドに乗りたい方はSLを選択してカスタマイズするのも良いかと思います。