アルミ

トレック史上最高峰のアルミ

アルミ製のフレームやコンポーネントは長い間自転車産業の中軸であった。だからといって進歩や成熟の余地がまったく残されてないわけではない。トレックは最も洗練された金属学の概念をAlpha アルミに適用し、アルミが持つ性能を極限まで高めてきた。強くて軽く、カーボン製品と肩を並べる走りの質を持つフレームを作ってきた。

軽く、振動をいなす走り

長年の間、アルミフレームは、カーボンと比べると硬すぎで快適性に劣る、と言われていた。トレックのエンジニアはこの定評を覆すことを使命と捉え、アルミ材料に最高の特性、つまり軽さと強度を持たせつつ、走りの質を向上させることに取り組んだ。

多くのサイクリストは、硬いアルミフレームのグイグイと進む走りを楽しんでいる。しかし走り始めはその反応の良さを楽しんでいたとしても、残念ながら長時間のライドや荒れた路面でのライドでは不快に感じ疲労が溜まりやすくなる。結果、持久系や冒険好きのライダーにはアルミが不向きだと思わせてしまう。

Alpha アルミは、アルミの定評ある加速感と振動を確実にいなすフレームを作るために開発された。トレックはフレームデザインや構造にさまざまな角度から取り組み、必要な硬さと可能な限りの振動吸収性を持たせるよう、フレームの隅々まで正確に設計することができた。その結果、アルミフレームが快適に、そしてさらに多くの状況で楽しめるようなった。

Alpha アルミに乗れば、ためらわずに砂利道へと入っていける。数日間のツーリングだって問題ない。気ままなサイクリング、ツーリング、トレーニング、そしてレース、すべてをこのアルミバイク一台で楽しめるのだ。

設計図が実物になるまで

金属材料はコンポジットのように型では作れない。走行特性に優れる独自形状を作るには、望んだ形へと成形したチューブを使うか、あるいはチューブを実際に変形させる必要がある。

アルミは最も手を加えづらい素材ではあるが、実際には、とても高品質な製品を作り出すことができる。トレックはアルミチューブをただ溶接しただけ以上のものとなる、独自のAlpha アルミフレームデザインを生み出した。私たちはさらに意欲的に実験を進め、その違いはパフォーマンス、快適性、見た目に現れる。アルミ合金素材の性能を限界まで引き出すことで、トレックのエンジニアは2つの利点を生み出せた。軽量化と、乗った時の硬さを生む主要な部位を柔らかくすることである。

ハイドロフォーミングとは?

高性能自動車の世界でその効果が証明されているハイドロフォーミングとは、円筒状のフレームチューブに液体を注入して、成形したい形状へと変形させる製法である。ハイドロフォーミングという技術により、トレックのエンジニアは高い空力性能を発揮する複雑なアルミフレームデザインを、設計図から生産ラインへと送り込むことができる。

どのエンジニアに尋ねても、形状の本質は円であると答えが返ってくるだろう。アルミフレームのチューブが元々円筒状なのは、荷重を均等に分散し、チューブ全体が同じ硬さとなるためだ。しかし円形状は空力特性に優れていないため、トレックはハイドロフォーミングを用いてアルミチューブを、強度を保ちつつも空力性能と走りの質を高める形状へと変えた。

滑らかな溶接部

トレックの最先端Alpha アルミフレームは、重量を減らして構造体としての一体感を高めつつ、高強度でありながら見た目も美しい、斬新な溶接方法、Invisible Weld Technology(溶接痕を目立たせない技術)を採用する。

嘘は付けない、見た目は大切だ。高品質なロードバイクには、各接合部が目で見えないくらい、すっきりと品のある外観が必要となる。Invisible Weld Technologyがまさにその答えだ。

互いのチューブが完璧に組み合うよう加圧成形したことで、トレックのエンジニアはチューブ同士を溶接しやすくしただけでなく、それに伴う溶接材の量を大幅に減少させた。

溶接材が減り、フレームの表面積が増えたことで、結果として強度と耐久性が上がる。これはまた、生産エンジニアがバイクを構成する材料の全重量を管理でき、その結果、一般的なカーボン製品よりも軽いフレームを造りだすことができる。トレックのInvisible Weld Technologyを用いた、軽量で超高強度のAlpha アルミフレームで組み上げられたアルミバイクは、走りの質や重量でカーボンバイクに勝てないという固定概念を打ち破った。

アルミの新時代

Alpha アルミという素晴らしい製法は、カーボン素材で作られた高性能ロードバイクと十分競い合えるバイクを生み出してきた。トレックのエンジニアはアルミ素材に対する意欲的な姿勢が優れた結果を生みだせることを示し、アルミは今後も廃れることはないと証明した。トレック史上最高のアルミロードバイク、是非体感してもらいたい。